PRP療法とは
患者さん自身の血小板を利用し
自己治癒力を高める再生医療の一種です
いま話題の再生医療、PRP療法
再生医療は、誰もが生まれながらにして持っている「自然治癒力」を利用した治療法です。
PRP療法は自分の血液を利用するため安全性が高く、整形外科の分野でもスポーツ選手のケガやひじやひざの関節の痛みの治療など多岐で使われているPRP療法についてご紹介いたします。
PRP療法の目的
スポーツ外傷 肉離れや骨折など
肉離れや骨折などのスポーツ外傷(1回の外力で突発的に発症する怪我)に対するPRP療法の目的は早期復帰です。 たとえば、プロスポーツ選手などが全治3か月の怪我をした場合、1週間でも2週間でも早く復帰することができれば、数試合多く出場することができるかもしれません。また、重要な試合を控えている場合、その試合に出ることができるかできないかで、選手人生が大きく左右されることもあるでしょう。 肉離れのようなスポーツ外傷は、いつかは治る怪我です。しかし、重傷度によっては治療期間に2〜3か月かかってしまうものがあります。このような怪我に対してPRP療法を行うことで、治療期間を少しでも短縮させ、怪我からの早期復帰を目指すことができます。
スポーツ障害 アキレス腱炎など
アキレス腱炎などのスポーツ障害(一定部位に繰り返しの負荷がかかることによる慢性的な損傷)は、痛みを我慢してスポーツを継続することで難治性(治療を行っても治りにくい状態)に陥りやすい怪我です。このようなスポーツ障害に対しては、完治を目指すためにPRP療法を行います。
難治性のスポーツ障害では本来治るはずの組織が硬くなってしまい、治りにくい状態になっています。そこで損傷部分にPRPを注入することで、本来の修復力を復活させ、怪我からの治癒を目的としています。
PRP治療が対象とする疾患
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
- 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 足底腱膜炎
- アキレス腱障害(アキレス腱炎・腱周囲炎)
- 肉離れ(筋不全断裂)
- 肘・膝・足関節靭帯損傷
- 手関節TFCC損傷
- 変形性関節症
- 肩腱板損傷
- 難治性骨折
PRP療法の安全性
PRP療法は、これ以上分化して別の組織になることがない血液中の血球成分を、
培養することなくそのまま使うため安全性の高い再生治療だと言われています。
また、ご自身の血液から精製する成分のため、
アレルギー反応・合併症の危険が少なく重い副作用は報告されていません。
PRP療法の方法としては、患者さん自身の血液を採血し、遠心分離機にかけ、
血液中にある血小板を含む多血小板血漿(PRP)を抽出し患部に注射します。
当院では超音波ガイドを用い、きちんと患部にPRPが入っていることを確認しながら行います。
また、投与回数・投与間隔なども個別の症状や医師の判断によって異なりますので個人差があります。
※血液は患者さん御本人の血液から分離します。
PRP療法が向いているタイプ
- 炎症が強い
- 画像上損傷部位が広い
- 鎖骨・肋骨付近のケガ(肺には衝撃波を照射できないため)
- 神経に隣接したケガ(内側上顆炎など)
- 休養期間が十分に設けられる
PRP療法をご希望の方は当院のスタッフまでご相談ください。
治療方法
- ①採血
- PRPを作成するための血液を患者さんから採取します。
- ②分離
- 採取した血液を遠心分離機にかけてPRPを抽出します。
- ③投与
- 抽出されたPRPを患部に注入します。PRPの広がりを抑えるために、約10〜20分間患部以外の部位の関節の袋を圧迫して患部にPRPが集まるようにしながら安静にします。
※①~③まで当日中に完了します。
治療回数
PRP療法を行う回数に特に決まりはありません。早期治癒を目的とした肉離れなどに対しては通常1〜2回の治療を行います。腱炎など難治性のスポーツ障害は、効果の現れ方に個人差があり治療回数もさまざまですが、2〜3回の治療を行う方が多いです。
また、疼痛緩和を目的とする変形性膝関節症や関節炎に対するPRP療法は通常2〜3回の治療を行います。半年ほど経過して痛みが再発するようであれば、再度2〜3回のPRP療法を行うこともあります。
治療費
自己PRP注入療法料金
筋・腱・靱帯への注入
(第三種再生医療等技術)
PRP注射1単位 → 採血10ml/PRP1ml
40,000円+税
PRP注射2単位 → 採血20ml/PRP2ml
60,000円+税
*料金には診察料、採血・注射施術料、PRP精製技術料・諸材料費が含まれます。
*治療の部位、対象組織や病態により(再生医療の区分分けがなされ)PRPの必要量と使用する精製キットが異なります。詳細はおたずねください。
*PRP注射1単位を、効果を実感しやすい3回の施術を行った場合の総額は¥120,000+税となります。
- ※本治療に用いるPRPは、薬機法上は未承認再生医療等製品という扱いになりますが、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づいて行われています。
- ※日本国内においてPRPと同一成分や性能を有する他の承認医療等製品はございません。
- ※主要先進国においてPRP治療は薬事承認されておらず、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
- ※万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
医師の紹介
八木貴史 先生
経歴
平成12年東海大学卒業
平成12年昭和大学整形外科学教室入局
平成18年医学博士
平成25年社団育成社佐々木病院横浜鶴見スポーツ&肘関節センターリハビリテーション科部長件整形外科医長
専門
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
膝関節・股関節を中心に年間200例以上の手術を行っている
よくある質問
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)、足底腱膜炎、アキレス腱障害(アキレス腱炎・腱周囲)、肉離れ(筋不全断裂)、肘・膝足関節靭帯損傷、手関節TFCC損傷、肩腱板損傷、難治性骨折などの症状の方に効果が期待できます。
PRP注射1単位→採血10ml/PRP1ml 40,000円+税
PRP注射2単位→採血20ml/PRP2ml 60,000円+税
日本ではまだ保険診療として認められていないため自由診療となります。
1回でも効果のある人もいれば、2~4週間隔で2、3回前後PRP注射を受ける方もいるため個人差があります。注射後は2〜3日くらい疼痛がありますが気づいたら痛みがなくなっているという効果の感じ方が多くみられます。
採血前まで自分の体に流れていた血小板を精製して少量注入するだけなので重い副作用は報告されていません。一般的な注入療法と同じく痛み・赤み・腫れ・灼熱感・皮下出血などの副作用はあり得ます。腫れや痛みや皮下出血は1週間続くこともあります。場合によってはそれ以上続く可能性もあります。
ご自身の血液を戻すだけなので薬剤アレルギーは関係ありません。
一般的には2~4週間間隔で2、3回前後PRP注射を受ける方が多いです。治療効果は個人差や注射部位による差があります。