白内障手術

白内障手術について

白内障の治療

当院の白内障手術は身体への負担も少なく、局所麻酔で行うため短時間で済み、その日のうちにお帰りいただけます。
治療法には、点眼薬や内服薬などによる薬物療法もありますが、それらはあくまでも病状の進行を遅らせるものです。

検査・診断

白内障手術の前に行う検査はいずれも痛みを伴わず、短時間で済みます。具体的には、下記の検査を受けていただきます。術前検査日、手術説明日の2日間に分けて行います。検査内容のうちの「散瞳検査」は点眼薬で瞳を開いて検査するもので、検査後も5〜6時間ほど光が眩しく感じられます。そのため散瞳検査を行う日は、ご自身による車や自転車の運転はお控えください。手術説明日を別日に予定いたしますので、その際はご家族と一緒に来院していただければと思います。

手術の適応を決める検査

  • 視力検査
  • 眼圧検査
  • 散瞳(点眼薬)検査
  • 細隙灯顕微鏡検査
  • 眼底検査
  • 角膜内皮細胞顕微鏡検査
  • 網膜電位図

眼内レンズの度数を決める検査

  • 角膜曲率半径計測
  • 超音波検査

全身状態の検査

  • 採血

※内科疾患をお持ちの方は、当院より内科主治医に診療情報提供依頼をいたします。

白内障手術の実際

水晶体の濁った中身を取り除いた後、眼内レンズを入れます。局所麻酔で痛みも無く、10〜30分で濁った水晶体を取り出して人工の眼内レンズを挿入します。主流は「超音波乳化吸引術」という方法です。これは約3mm程度の小さな創口から手術を行うもので、超音波を使って水晶体を破砕し、吸引します。この方法は、目そのものへの負担が少なく、術後もすぐに視力が回復する最先端の治療です。手術は、鎮静剤を投与しながら行います。患者さんは睡眠状態になりますので、恐怖心は極めて少なくなり、全身への負担も大きく軽減されます。

手術の簡単な流れです。
このレンズによって、術後の生活が変化してきます。
この後の説明をよくお読みのうえ、術後どのような生活を望んでいらっしゃるのかについてよく考えていただきたいと思います。そのご希望を踏まえてよく話し合い、眼内レンズを決定していきたいと考えております。

レンズの種類

① 単焦点レンズ(よく見えるピントが一つのみのレンズ)

ピントが一つのレンズなので、患者様のご希望に応じて度数を決定いたします。

眼内レンズ
の度数
見え方 メガネの
必要性
遠く 近く
遠くを見るのに
メガネを使いたくない
遠方 × 必要
(近用眼鏡)
近くを見るのに
メガネを使いたくない
近方 × 必要
(遠用眼鏡)

遠くがよく見えるようにあわせたイメージ

近くがよく見えるように合わせたイメージ

※遠くに合わせる方、近くに合わせる方のいずれにせよ、ほとんどの方でメガネは必要となります。

② 多焦点眼内レンズ(よく見えるピントが、遠方と近方の2つあるレンズ)

遠く(2mより遠くの全ての距離)と近く(目から約30~70cmの距離)両方によく見えるピントがあるため、通常の生活では、メガネの必要性はほとんど生じません。

多焦点眼内レンズの見え方のイメージ

多焦点眼内レンズについてのご確認・ご注意事項

術後ハロー(光がにじんで見える)、グレア(光がぎらついて眩しく見える)などが起こりやすく、眩しく感じられる可能性があります。 ※ほとんどの場合、術後半年程度でハロー・グレア現象は軽減してきます。

ハロー現象イメージ

グレア現象イメージ

近方で30cmよりも手前で細かい作業をするような場合には、メガネをかけたほうが見やすい場合があります。
近方の視力の立ち上がりや見え方の慣れには個人差があり、時間(3カ月程度)がかかる場合があります。
このレンズは、乱視の程度や白内障以外の眼疾患、または生活スタイルなどによって使用できない方がいらっしゃいます。
このレンズを使うことが決まっていても、手術中の合併症によって急遽、単焦点レンズに変更しなければならなくなるケースがございます。

③ 3焦点眼内レンズについて

当クリニックでは、日本アルコン社のパンオプティクスというレンズを使用しております。
乱視用も作られています。今までの2重焦点眼内レンズとの大きな差は、中間距離にもピントが合うことです。それによって、今までの2重焦点眼内レンズを入れるよりも、メガネをかけたり外したりする煩わしさを減らすことができるようになりました。

2重焦点のレンズでは見えづらいこともあった50cm〜1mの中間距離が、より見やすくなります。具体的には、パソコンの画面や狭い部屋でのテレビ画面が見やすくなります。ただし、理論的にはメガネなしの生活を送ることができるはずですが、実際に患者さんによっては、メガネが必要な場合もあります。お仕事やご趣味などで、すべての距離で鮮明な見え方を必要とする方には向いていないこともあります。

医師との相談で、保険診療の単焦点レンズも含め、患者さんのご要望に合うレンズをご案内致します。

多焦点眼内レンズのメリット(例)

眼内レンズを選択できるのは一生に一度限りです。ライフスタイルや職業に応じてどちらがご自身に合っているかを、じっくりお考えになることをお勧めいたします。

農作業中に眼鏡への泥はねが気にならない。
眼鏡なしで手元のはさみと鏡が見える。
眼鏡なしでガイドブックと景色が見える。
眼鏡なしで値札や店内全体が見える。
眼鏡なしで教科書と生徒の顔が見える。
眼鏡なしでスコアカードもボールも見える。
汗をかいてもすぐに顔を拭くことができる。

眼内レンズについてもっと詳しく知りたい・多焦点眼内レンズを使いたい・多焦点レンズに興味があるという方は、医師またはスタッフまで遠慮無くお尋ねください。

術後のサポート体制

手術後の患者様は「24時間」いつでも医師と連絡をお取りいただけます。
当院では、白内障の手術器械はすべてコンピュータで制御されており、しかも常に最新のプログラムを導入しています。
また、緊急手術が必要な場合や合併症が起こった際も、迅速に対応することができます。

1.来院

2.術前準備

3.手術

4.安静

5.帰宅

6.外来通院

日帰り手術(白内障手術の場合の例)

  • 日帰り手術

  • 当日、手術予定約1時間前来院

  • ・術前処置(術前点眼・血圧測定等)

    ・手術室に移動後、点眼等の手術準備

  • 局所麻酔なので医師と会話ができます。

  • リカバリー室にて30~60分

  • 眼帯のまま帰宅 ※ご自宅で異常を感じたら、病院までご連絡ください。

  • 手術翌日、外来通院(消毒・目薬説明)

  • ・洗顔、洗髪が制限されます。

    ・手術後一週間は合併症に対して注意が必要です。

    ・医師の指定した日に必ず診察を受けてください。

    ・手術後に異常を感じたときは、早急にお知らせください。

手術後の注意点

最近の白内障手術はたいへん安全性が高く、しかも患者様の負担も非常に少なく、かなり楽な手術になってきました。しかし合併症が全く無い訳ではありません。一番怖いのが術後眼内炎、つまり細菌が眼に入ってしまうことです。眼に細菌が入ってしまうと最悪の場合、失明する事態もあり得ます。ですから細菌対策には細心の注意を払っておりますが、本来入院して手術するところを日帰りで行いますので、患者様にもご協力いただきたいことがいくつかあります。

  • 手術当日はしっかりと眼帯をしてご帰宅いただきます。
  • 眼帯をしたまま寝ていただき、翌日もその眼帯をしたままご来院ください。
  • 絶対に眼帯をはずしたり、眼帯の中に指を入れたりしないでください。
  • 当日は入浴や洗髪、洗顔は禁止です。(顔はタオルで拭くだけにしてください)
  • その後も入浴、洗髪、洗顔等の制限がございますので、下表を参考にしてください。
手術当日
(土)
術後1日目
(日)
術後2日目
(月)
術後3日目
(火)
術後4日目
(水)
術後5日目
(木)
術後6日目
(金)
通院 × 2週続けて手術の方
散瞳検査あり
× 散瞳検査あり
眼帯 触らない 終日、保護めがね 就寝時のみ保護めがね なし
水分・食事 術後2時間後から可
洗顔 × タオルで拭くだけ 診察後医師の
指示通り
洗髪 × × × 仰向け可(美容院等で) 診察後医師の
指示通り
入浴 × 首から下シャワー可 診察後医師の
指示通り
化粧・散髪 × × × × × ×
点眼 × 医師の指示通りに
飲酒 × × × × × × 控えめに可
読書・
テレビ
×

※仕事、運動等はその内容や眼の状況によりますので、その都度お話しさせて頂きます。

※パーマ、髪染は手術後3週間はお控えください。

※散瞳検査のある日は車やバイクなどでの来院はしないで下さい。また2週間続けて手術のある方は、水曜日も散瞳検査を行います。

日帰りが不可能な方

日帰り白内障手術は、患者様の負担がとても少なく、楽に受けられる手術ですが、手術時の合併症が起こる可能性が他の方より高い場合は、状態によっては入院の上、手術をする必要がございます。当院での日帰り手術が不可能と判断された場合は、「昭和大学病院」や「総合高津中央病院」など、入院施設のある病院を紹介させていただきます。

白内障についてはこちら

自由診療について

① 5焦点眼内レンズ(5つの焦点(遠方、遠中、中間、中近、近方)にピントがあうレンズ)

2020年9月から国内で取扱いされた、イスラエルのHanita社製インテンシティ(INTENSITEY)というレンズです。 最大の特徴としては、これまでの2焦点や3焦点眼内レンズでは、調節が困難であった遠方~中間(1mより遠くの距離)、中間~近方(1mから30cmの距離)にも焦点を調節することができる点です。
そのため、すべての距離においてなめらかな見え方を獲得し、今までの多焦点レンズではメガネの装用が必要だった距離にも、メガネを装用せずに過ごすことが期待できます。 ただし、お仕事やご趣味において、ある一定の距離に鮮明な見え方をご希望の場合にはおすすめできないこともあります。 レンズを選定の際に、単焦点やその他の多焦点レンズを含めて医師と相談していきましょう。

5焦点レンズ 55万円(税込)

② アドオンレンズ

すでに白内障の手術を受け、眼内レンズが入った状態の目に対して追加で挿入できる眼内レンズです。 白内障手術後の近視・遠視・乱視といった屈折異常の矯正に適した手段です。 「近くをもっと見えるようにしたい」「遠くをもっと見えるようにしたい」「乱視を少なくしたい」「左右の度数差をなくしたい」といった『裸眼での見え方の質』を向上することが期待できます。 また、単焦点眼内レンズで白内障手術を受けられた方で、老眼鏡の使用頻度を減らしたいという場合には、多焦点のアドオンレンズがお勧めです。 万が一アドオンレンズが合わなかった場合、摘出して手術前の状態に戻すことができます。 アドオンレンズを希望される患者様には、目の状態を詳細に検査し、適性を判断いたします。 裸眼での見え方の質を高められることは大きなメリットではありますが、すべての距離において鮮明な見え方を期待できるものではありませんので、どの距離に見え方の重点をおくか等、医師と相談をしていきます。

アドオンレンズ 33万円(税込)