ロービジョン
ロービジョンについて
ロービジョン外来
ロービジョン外来は完全予約制で行っております。
まずは、一般外来で検査を行い、担当医が必要かどうかを判断いたします。
ご予約せずに当日お越しいただいても、ロービジョン外来を受けることはできませんので、ご了承ください。
ロービジョンとは
病気やけがなど、何らかの原因により視覚に障害を受け、「見えにくい」「まぶしい」「見える範囲が狭い・欠ける」「見えない部分が邪魔をして見たいところが見えない」など日常の生活に支障をきたしている状態を「ロービジョン(Low
Vision)」(低視覚:弱視、視覚障害など)と言います。
ロービジョンになると、日常の読み書きや行動に様々な不自由を覚えるようになると、QOL(生活の質)が低下してしまいます。
しかし、適切な補助具の使用やリハビリ訓練をとり入れることで、不自由の多くは解決することができます。
一言でロービジョンといっても、「見える範囲が狭くて人にぶつかる」「見えにくいから恐くて外出できない」「家の中でもまぶしく感じる」など、人によって見えにくいことで困っていることは様々です。
より快適な日常を過ごすことができるようにご支援いたしますので、ご相談ください。
*当院の院長は、「視覚障害者用補装具適合判定医」「身体障害者福祉法指定医」です。
ロービジョンケアについて
ロービジョンケアとは
なんらかの病気やけがなどで、視力低下や視野狭窄をきたした時やその危惧がある時、眼科では、検査により異常な箇所を見つけ、その治療を行います。治療が効を奏して眼の状態を正常にできれば、視力や視野は回復します。
しかし、残念ながら治療効果が十分でなく、視覚障害に至るケースもあります。ただ、そのような場合に、眼を全く使えなくなるとは限りません。むしろ多くの場合、視機能(視力や視野、色覚)はいくらか保持されているものです。
その保持されている視機能を最大限に活用することによって患者さんが自立して、できるだけ快適な生活を送れるように医療的・教育的・職業的・社会的・福祉的・心理的な支援をロービジョンケアと呼びます。
ロービジョンを招く疾患
ロービジョンを招くことのある代表的な原因疾患、およびその特徴について、以下に記します。
緑内障
緑内障は、見える範囲(視野)が狭くなる病気です。
早期に緑内障を発見し、きちんと眼圧コントロールができていれば良いのですが、そうでないと視覚障害に至ることがあります。
緑内障でのロービジョンは、周辺部分が見えづらくなり、歩行中に人や物にぶつかったり、知人とすれ違っても気付かなかったり、文章を読む際にある行末から次の行に移る時に行がわからなくなったりします。さらに病状が進めば、視力も低下してきます。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病によって眼の奥の「網膜」(カメラで言えばフィルムに相当)に異常が生じる病気です。
糖尿病をしっかりコントロールしていれば良いのですが、そうでないと網膜が剥がれたり、眼球内に出血が生じたり、重い緑内障が起こったりもします。
糖尿病網膜症の視覚障害の特徴は、症状は病気の進行とともに徐々に進行していきますが、視神経に障害が起こったり硝子体内に出血が生じた場合は、ある時突然、視力や視野を失います。
網膜色素変性症
網膜色素変性症は、網膜に異常が起こり、夜盲(暗いところでものが見えにくい)が生じ、しかも少しずつ視野が狭くなる遺伝性、進行性の病気です。
現在のところ、根本的な治療法はありません。
発病年齢は幼少期から高齢者に至るまで幅広く、病気の進行スピードも患者さんによって様々です。
一般的な初期症状としては、暗い所でものが見えにくくなる夜盲で、病気が進んでいくと、次第に視野が狭くなっていき、視力や色覚異常をともなっていきます。しかし、視力は病状がかなり進むまでは、比較的よく保たれます。
網膜色素変性症のロービジョンは緑内障に似ており、視野が周辺部から徐々に狭くなっていきますが、症状の組み合わせや順序は個人差があるため、視力の低下や色覚異常を感じた後に夜盲になる方もいます。
加齢黄斑変性
網膜の中心には、視力に関して重要な働きをしている黄斑という部分があります。
この部分に、加齢により出血やむくみが生じ、視力が低下するのが加齢黄斑変性です。
加齢黄斑変性のロービジョンは、緑内障や網膜色素変性症とは逆に、視野の周辺は見えるものの、視野の中央が見えにくくなるという特徴があります。
そのほかの疾患
角膜や水晶体の濁り、視神経疾患、ぶどう膜炎、けが、脳卒中など、視覚障害が生じる原因疾患はいろいろあり、視力や視野への影響もそれぞれに異なって様々です。
ロービジョンケアの実際
ロービジョンケアには、医療と福祉両面にわたる、いろいろな手段が用いられます。
ここでは、保持されている視力や視野を効率よく使って、できるだけ物がよく見えるようにするためのロービジョンケア対策について触れておきます。
視力低下のロービジョンケア
拡大鏡の使用
文字や遠くの物がぼやけてよく見えない時、ルーペや双眼鏡などを使うと、網膜に写る像が大きくなり、はっきり見えます。ロービジョンケアに使う拡大鏡(弱視レンズ)も、これと同じ原理で、凸レンズを使って像を拡大します。視力や使用環境に応じて、それぞれに適切な倍率のレンズを選んで使い分けます。
屈折異常の矯正
ロービジョンケアの効果を高めるために、近視や乱視がある場合は、メガネやコンタクトレンズなどでしっかり矯正することが前提です。そうしないと、拡大鏡を用いても網膜に写るのは、ぼやけたまま大きくなった像であり、効果が半減してしまいます。
中心外固視の練習
網膜の中心の働きが障害を受けて視力が低下している場合も、中心からやや離れた網膜なら機能していることがあるので、そこの網膜で物を見る練習をします。
視野異常のロービジョンケア
縮小レンズの使用
視力低下に用いる凸レンズとは反対に、凹レンズを使うと、見える範囲が広くなります。
ただし、像は小さくなりますので、視力低下の少ない人に向いています。
プリズムの使用
プリズムを通して見ると、視野が拡大されます。通常はメガネに取り付けます。
物が見えている位置と実際の位置には、ずれが生じがちですので、「慣れ」が必要になります。
スキャニングの練習
視野が狭くても、眼を少しずつ動かして情報を取り込んでいけば(スキャニング)、前方の様子を把握することが可能になります。
羞明(まぶしい)のロービジョンケア
遮光メガネの使用
波長が短くて眼の中で散乱しやすい性質をもつ「青色の光」だけをカットするタイプの遮光メガネをかけると、まぶしさが減少します。通常のサングラスですと、あらゆる光を一律にカットしますので、視野は暗くなり、物が見づらくなります。
サンバイザーや帽子の着用
つば付きの帽子も、まぶしさの軽減に役立ちます。
眼科でのロービジョンケア
眼科では、主に下記のようなロービジョンケアを行います。
- 視覚補助具の選定と処方
- 視覚補助具の使用訓練
- 「視覚障害者手帳」の申請
- 補装具の申請
- 福祉サービスに関する指導
- 他機関への紹介・連携 など
障害者手帳の取得
障害者手帳を取得すると、様々な公的サービスを利用できるようになります。
障害の等級によって、拡大読書器などの購入費の補助、所得税や医療費の控除、そして障害年金の支給が受けられます。
また、福祉センターを中心に行われているロービジョンケアは、障害者手帳を持っていないと受けられないものもあります。
障害者手帳の取得には、指定医による診断書の提出が必要ですので、ご相談ください。
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